2009-02-06

芸術起業論

ルイ・ヴィトンとのコラボでも有名なアーティストである村上隆が書いた『芸術起業論』を読み終えました。

彼の作品は、好みではないけれども、彼自身のアーティストとしての真剣さが伝わる一冊だった。

アーティストという職業(肩書き)の場合、「食べるために作品を作るのか」それとも「作品を作りたいから食べる必要があるのか」そこがシビアになりきれるかどうかのポイントだと思う。
アーティスト自身が、自分が表現したいものを作品として作り続けるために、作品を売らないといけないと考える。
それ自体、なんらおかしな状況ではなく、芸術を生業とする以上、必要最低限のことではないか?

「神聖な芸術の世界で、お金の話をするな!」
そんな鎖国された日本において、アーティストを夢見る若手作家に何が必要なのだろうか。

自分自身、日本・世界のアートシーンやギャラリーの状況について無知ではある。
そのため自分の経験からものを言えないが、これまで僕が会ってきたアーティストはプレゼンがとても上手い。
自分の作品について、これまでの人生との関係性、そして社会に対してその作品がどのようなインパクトを与えられるのか?それを常に自問自答し続けてきたのだろう。

村上隆は言った「すべてのアーティストは起業家である」
世界レベルでの勝負がしたければ、ただ自分の思いを表現するだけではなく、自分と社会(歴史)との関係性を認識した上で、作品を作っていかなければならないのだろう。

ただ、僕が彼の作品を好きにならないように、高い金額で取引される作品が「良い作品」な訳ではない。
全ての評価が受け手に委ねられるアートにおいて、唯一の客観的評価である「お金」。
そこに評価基準を持ってくる場合、彼の言い分はまぎれもなく王道かつ正論である。

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